高齢化のより一層の進展を受け、口腔機能の向上を図り、生涯を通じて食べる機能と話す機能を良好な状態に保つことが、これまで以上に求められています。現在、実施が広がりつつある後期高齢者歯科健診においても、口腔機能の低下の兆候を把握し、適切な対応策を早期に導入する重要性が指摘されています。
口腔機能の評価については、これまでいくつかの方法が報告されていますが、舌の巧緻性を定量的に図る手法として「オーラルディアドコキネシス」の有用性が多くの調査研究にて報告されています。オーラル・ディアドコキネスは、「パ」「タ」「カ」などの基準音節を繰り返して発音してもらい、そのスピードから口腔機能の良否を求めるものですが、これまで健診等で多くの対象者に対して、感度良く簡便に測定することは難しいものでもありました。そこで、ICT技術を活用し、タブレット端末用のオーラルディアドコキネシス評価アプリを開発しました。後期高齢者歯科健診での使用を想定して開発しておりますが、前期高齢者やプレ高齢者に対する口腔機能評価にも、ご活用いただけます。
【アプリの特色】
(1) 音声録音機能を有しており、継続した音声データの変化を評価することができます。
(2) 研究知見をもとに、舌の巧緻性の低下リスクについて、年代ならびに性別ごとの基準値と比較して評価を行うことができ、口腔機能低下リスクを可視化することができます。
(3) 得られたオーラルディアドコキネシスデータについては、CSVファイル形式にて保存することができるため、他の健診項目と併せて複合的な評価が容易になります。
(4) 本アプリの感度や信頼度は学術的に検証済みです。
(5) iPadの内蔵マイクに加え、外付けマイクを付加することにより、さらに感度を上げることが可能です。